六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


「ばっ……琴!」


琴さんの横で瑛さんが眉間にシワを寄せる。


「誰が下働きよ!

この子はね、安城まりあ!

アンタの許嫁の依頼主の妹、夢見姫なの!」


ぷっつんとキレた清良が、琴さんに向かって怒鳴った。


それを聞いた琴さんは、みるみる顔を青くする。


「ま、まぁ、とんだ勘違いを……!

お許しください、夢見姫様!」


琴さんはその場で手と頭を畳につけ、謝った。


……お手伝いさんに、間違えられるって……。


そんなにあたし、オーラありませんか?


「あー……、大丈夫ですから、顔を上げてください」


「すみません、申し訳ありませんっ!

まさか、こんな可愛らしい方だと思わなくて……!」


「もー、良いですって……」


確かに琴さんは大人っぽいというか、色っぽくて。


あたしは、お世辞にも『綺麗』なタイプじゃないけど。


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