六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


『大丈夫ですか?』


『人の笑顔がみたいなんて、

自分が悲しいとか寂しい時でしょう?』



そう言った目には、哀れみも嫌悪もなかった。


ただ、俺が濡らしてしまった頬が輝いていた。


『わけわかんない』


そうだろう。


俺だって何がなんだかわからない。



ただ。



笑ってくれたお前の唇が、欲しかった。



俺を誘ったんだ。




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