六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
『嘘だ……』
泣きながら、瑛さんは立ち上がる。
『嘘ではありません。
けれど、貴方が頑張れば、お母様に会えます』
『本当に?いつまで頑張ればいいの?』
『13年……
貴方が18になるまでです』
『じゅう……』
瑛さんは言葉を失ってしまう。
13年……
子供にとっては、永遠にも思える時間だろう。
『もう、貴方は大人です。
泣いてはいけません。
誰も、信用してはいけません。
貴方を救えるのは、貴方だけなのです』
どこかで聞いたセリフ。
あれは……伊奈との戦いで。
『自分は、自分で救うしかないんだ!!』
瑛さんが、そう叫んでいた……。
涙に濡れた少年の目は、絶望を写した。
それでも。
彼は自分で涙をふいて、小さくうなずいた。