はかない想い
 けれど、
不良は何も言わずに黙っていた。



 美優が沙代の顔を見た。



 沙代は顔を下に向けて、
顔を合わせないようにしていた。



 すると、
美優が言った。



 「ちょっと、ぶつかったんだから沙代に謝れば?」



 (何言ってんの美優!!不良さんが怒るじゃん………)



 沙代が不良の方を見ると、
不良と目が合った。




 あわてて沙代は顔を逸らす。



 「………ごめん」



 小さく聞こえたこの声は、
沙代と美優にしか聞こえないくらい小さな声だった。




 (……何?)



 「…え?」



 沙代が顔を上げると、
不良が顔を横にしていた。



 美優の方を見ると、
美優も分からないといった表情をしていた。




 すると、
不良が今度はさっきよりやや大きめな声で言った。



 「…ごめん」



 (この人……いい人かも♪)



 そう思った矢先だった。



 不良の後ろから聞こえて来た声。




 それは…………不良少女だった。



 「翔ちゃぁ~ん!!もぅ、マジメに走って疲れまくったんだけどぉ~~!!」



 (何!?またしても不良!!困る!それだけは困る!!)



 何か危険を察知した沙代は、
美優の手を取って学園の中へと入っていった。



 「え?さ…よ??どうしたの??」



 美優は、
何がなんだか分からない…いや、
理解していないと言った方が良いだろう。



 沙代は、
とにかく学園の中へと入っていった。



 (何人もの不良と会えない!!会いたくない!!)




 沙代は、
ひたすら歩いた。



 美優は、
まだ体制が整っていなくて、
アタフタしていた。



 沙代達は、
学園の中でも中心くらいの場所に来ていた。




 沙代が、
恐る恐る振り返ると、
不良男子はさっきの話しかけて来た不良女子と、
何か話し合っていた。




 沙代はホッと一息ついた。
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