届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
人を好きになれないことなんか。
好きになったらいけない。
また、お兄ちゃんに見つかった時、その人がどんな目に会うのか。
想像しただけで怖くて仕方ない。
自然と体が震えてしまう。
同級生や先輩。
冬槻先生や霧生くんみたいに。
それだけじゃない。
周りのみんなにも、どんなに辛い思いをさせるか。
それを思ったら、恋愛なんて出来る立場なんかじゃない。
これ以上、誰かを失くしたくない。
傷つきたくなんかない。
傷つけたくなんかない。
まるで、逃亡者のように生きていかなきゃいけないなんて。
それを理解してもらうって事は、全部を話さなきゃ。
だけど、そんな事できない。
うつむいて言葉を探してしまう。
「もしかして、好きな人とかいるの?」
その言葉に、一瞬、思い浮かんだのは霧生くん。
だけど、霧生くんは好きとかそう言う感情じゃなくて。
後ろめたい?
違う。
罪悪感だ。
あたしのせいで、冬槻先生は殺されちゃったんだもん。
例え好きだったとしても。
好きな人を殺した相手の妹だもん。
憎まれることはあっても、思いが通じ合うことはないから。
「べ…別に好きとか、そんなんじゃなくて…。」
慌てて否定した。
「ふ~ん。なんか怪しいなぁ。」
疑いの目でチラリとあたしを見たって、本当のことなんか言えない。