届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
47 突きつけられた現実
あれから数ヶ月。
あの後すぐ、霧生くんのマンションに行ったけど、やっぱり引っ越していた。
不思議にも霧生くんから貰った携帯だけは、相変わらず止まっていない。
だから、いつか連絡をくれると信じて待っているしかなかった。
心のどこかに閉まって、忘れかけた冬の午後---。
「唯ってどこに住んでいるんだ?」
秀がなんとなく言った。
「突然どうしたの?」
そんなことを聞かれたこともなかったから。
少し驚いた。
「別に。深い意味はないけど、前のホテル引き払ったみたいだから実家とか思って。実家ってどこなんだ?」
秀にバレたのが嫌で、あたしはホテルを引き払ったのだ。
そんなことを話してもいないのに。
どうせ、どこかの女の子から聞いたんでしょ?
ハアッと大きなため息をつきそうになったのをゴクリと飲み込んで。
「隣の県だよ。」
「そこから毎日きているのかよ?」
尚吾がビックリしている。
だよね…。
軽く1時間くらいはかかるもん。
だけど、あたしが帰るわけないじゃん。
時間の問題じゃない。
あんな家…誰が帰るもんですか!!
「違うよ。今は転々と、ネットカフェとかね。」
「だったら、オレの所に住め。」
キランと尚吾の目が輝いている。