届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

52 元カノ


秀一と私は、4人の仲のいい家族だった。

父も母もそれは大事にしてくれていて。

私が熱を出せば、一晩中父は病院を探してくれて。

母は、寝ずに看病してくれた。

秀一の幼稚園の運動会とか、家族で応援に行ったり。

秀一が、小学校6年生の終わり頃だった。

父の経営していた不動産会社が、多額の借金を背負って倒産したの。

毎日のように、借金の取立てがきて。

友達は、嫌がらせされるからと離れていって。

秀一は、学校すら行けなくなったの。

だけど尚吾くんだけは、いつもと変わらずひょっこりと遊びに来てくれて。

一緒に宿題をしたり、遊んでくれてた。

それで、秀一も学校に行くようになったある日。

私が用事があって仕事から早く帰ってきたの。

そしたら、父と母が遺書を残して首を吊って自殺しようとしていたの。

借金で借金を作っていたのよ。

雪ダルマ式にね。

私と秀一の生活に、これ以上危害を加えられたくないって。

財産さえ相続しなければ、借金を返す事はないからって。

それを聞いて、私は泣いたの。

私が何とかするから。

だから、死ぬなんてしないで欲しいって。

だって、私が風俗に行けば返せると思っていたから。

そして、私は親に反対されながらも風俗で働いた。

現実は、それだけじゃ追いつかないくらいの借金。

全部で3億円。

それに利息が付いてくるから、利息だけで元金を払う事なんてできなかった。

私も疲れ果ててしまっていたのね。

2年以上、寝る間もなく風俗で働いていたから。

ある日、尚吾君が言ってくれたのよ。

「オレが何とかするから、悲しまないで欲しい。」

だけど、中学生に何ができる?

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