届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

60 誕生日


あの後、当然尚吾を殴ってやった。

だけど、嬉しそうに真っ赤になったほおを押さえていた。

結局、付き合うとかそういうのはウヤムヤニしたまま。

勢いづいて好きなんて言っちゃったけど、実際どうしていいかまだ迷っているのが実際。

そして、あたしは『G』に戻って住む事になった。

あのままお姉さん?と一緒に暮らしても、ギクシャクしちゃいそうだったから。

「唯ちゃんと一緒にいられるなんて夢見たい!!」

ミュウは、凄く喜んでいた。

いつも、1人で淋しかったみたいだから。

尚吾とミュウとあたし…。

微妙な三角関係。

その原因は、あたしにあるんだけどね。

なのに、いつもと変わりなくみんなで笑っていられた。

だけど、その日は珍しく尚吾だけは『G』に来ていない。

丘芹や亮太の恋愛バカ話には笑っていられるけど、どこかソワソワしてしまう。

♪♪~♪…

♪♪~♪…


ポケットの中の携帯に、誰かからメールが来た。

『件名 今から

本文 ----

1人でビルまで来てくれないか。』

『G』に来ないと思ったら、ビルにいたのか。

でも、あたし1人って。

何だろう?

少しの不安を抱えながら、こっそりと部屋を出てビルに向かった。

もしかして、お兄ちゃんが何かしたの?

お姉さん…じゃなくて。

秀のお兄さんと何かあったの?

頭の中を色々な不安要素が思い浮かぶ。

ビルに着くと急いで階段を駆け上った。

息を切らせフロアのドアの前で立ち止まった。

目をつぶり大きく一度深呼吸をすると、勢いよくドアを開けた。

あれ…?

真っ暗じゃん。

もしかして、お兄ちゃんが尚吾に何かしたの!?

そう思うのは当然。

慌てて部屋の中に入って、辺りを見回した。

部屋の中を荒らされている様子もないし。

急いで携帯をポケットから取り出すと、秀達の携帯に電話をしようとした。

< 449 / 570 >

この作品をシェア

pagetop