しろくろ

一章 †鳴り響くは開幕のベル

ゴ――ン ゴ――ン

古い時計台の鐘が街に朝を伝える
人々はその鐘の音に優しく耳を傾けながら朝の支度を整え、鳥は鐘に合わせて気持ち良さそうに喉を鳴らす

あちこちで神に祈りを捧げる者達が見える


『馬鹿らしい』


そんな者達を横目で見ながら少年は心の中で悪態をついた

彼は
氷雨 煉邪 【ヒサメ レンヤ】

真っ黒のロングコートに斜めに着いている厳ついベルト
そして真っ赤な髪が道行く人達を振り向かせる

しかし彼はそんなことも全くお構い無しに目的地へと急いだ

煉邪は燃え盛る炎のような髪が風に揺れ顏に当たるのを鬱陶しそうに払って歩みを進めた
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