あのこになりたい
4月も終わりに近づき、電車の中から見える景色もずいぶん変わった。


桜の花ってこんなに儚く散っていくんだな…


子どもの頃は長い間咲いていたような気がしたけど。


確か、次の駅でシュンが乗って来るはず…


私は、ホームに立つ人達の中からシュンを探した。



いたいた…


相変わらずの天パに眠そうな顔。


シュンが近づいてきた。


「よ!」


シュンは笑いながら近づいてきた。



「昨日はごめんね」


私は隣に座るシュンに言った。



「いや、全然。なんか家庭の匂いがした…」


シュンはスニーカーの靴紐を直しながら言った。



「あ…なんか、ごめん」


シュンは一人なんだよね…

私は自分の考えなしの発言に少し後悔した。



「全然。友達もよく遊びに来るし、泊まりに来るし」

シュンは笑った。



「そっか…」


そうだよね。毎日ずっと一人でいるとは限らないよね。



< 29 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop