あのこになりたい
お人形のような長いまつ毛と大きな目。


小さな顔。


華奢な体。


「お兄ちゃんの友達で、全然彼氏じゃないの」


私の言葉に、


「え〜。じゃあ紹介してよ〜」


梨穗は身を乗り出して言った。


「彼氏いるじゃん」


「そうだった」


梨穗はかわいく笑った。



梨穗なんか悩みなさそう。

むしろ悩みがないのが悩み?


これだけ恵まれてたらほんと人生得すること多いだろうなぁ。



裕香は社長令嬢だから。


持ってるもの全て有名ブランド。


羨ましい限りだ。


私なんて…


努力してやっとこの学校に入って。


必死に勉強しなきゃついて行けないし。



「彼氏いないなら、3組の斉藤くんが咲のこと気になってるらしいけど。どう?」


梨穗の言葉に私は赤面した。


「え…」


動揺する私を二人は見ながら笑った。


「でも…好きな人いるし」

私は小さな声で答えた。



「そうなの?」


梨穗は興味津々な様子で食い付いてきた。


「中学の時のね…」


私は幸輔のことを話した。


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