烏鎮(うーちん) 上海水郷物語2

双橋

「周恩来という人は実に偉い人です」
「そうですね」
「日本の京都に嵐山というところがあります」

「ええ、私の故郷ふるさとです」
「そうですか!そこの亀山公園というところに周恩来
の碑があります。一度訪ねてみたいと思っています」

「亀山公園は私の実家のすぐ近くです。確かに周総理
の碑というのがあります、雨中嵐山とかいう。
子どもの頃によく遊びました」

「よくご存知ですね。まさしく雨中嵐山。周総理が
21歳の時に書いた詩です。雨の中に一筋の光がさして

緑と点在する桜の木が冴え渡る。暗雲の中一筋の光明を
見出したようだ、と周恩来は歌っています」

二人は双橋の北詰に着いた。
「ここでもし、二人が別れたとしても」

と言って静江を右に、孔明は左の橋げたを
歩き始めた。孔明は話し続ける。

「人生にはいろんなことがあるでしょう。
それぞれの荒波を受けながらも、なかなか
会うことができません」
< 17 / 32 >

この作品をシェア

pagetop