烏鎮(うーちん) 上海水郷物語2
静江は頑丈にガムテープで包装された茶封筒を
かなりの力を入れてこじ開けた。母がじっと
手元を見ている。古ぼけた手帳とロケット

ペンダントが一つ出てきた。ロケットを開くと
セピア色の幼い子どもの写真が貼ってある。
母と二人で覗き込む。王美麗と書いてあった。

「王美麗?知ってる母さん?」
「知らないわ。中国の人ね。2歳くらいかしら?
あなたこそ心当たりはないの?おじいちゃんが
あなたにと指定した形見なのよ」

「そうだよね。この手帳に手がかりがあると思うわ」
「そうだね。私は夕飯の支度で忙しいから、
ゆっくり上で読んで後で教えてね」

「分かった。そうする」
静江は2階の自分の部屋に上がっていった。

『何故、母ではなくて私なのかしら?』
そう思いながら静江は手帳を広げた。
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