君と恋に堕ちた事について
「飯旨かったよ。」


食器を洗っていた麻実を後ろから抱き締めた。


食事中、一言も話さなかった。やっぱり、まだ怒っているのだ。


「今日は、もう帰ってよ。」


「まだ大丈夫だよ。」


オレは、麻実の首筋にキスをした。


「今日は、もう京介さんの顔を見たくないの。」

麻実はオレの上着と鞄を持って来ると、オレに押し付けた。


いつもなら、ネクタイを結んでくれるのだが、今日は、見つめてさえしてくれない。


「じゃ、また。」


玄関で靴を履き振り返っても、麻実はいなかった。

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