君と恋に堕ちた事について
「お邪魔しまぁす。」


麻実はキョロキョロ見渡し「何もないね。」と呟いた。


「1人だからな。」

「それにしても殺風景。今度、私が部屋の改造をしてあげよう。」


オレは、笑いながら麻実を見た。何も変わっていない。


小さなリビングには、友紀子の写真と花が供えてあった。


「お線香あげてもいい?」

麻実は不安そうにオレを見た。

「あぁ。いいよ。」


そう答えたけれど、本当に良いのだろうか?


麻実は線香に火をつけ手を合わせた。


ただ一言呟いた。

「ごめんなさい。」
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