たった一試合、君と私の甲子園
「紗奈!!」


ぎゅっ!!

すると宏大は紗奈の手を掴んだ。


紗奈は驚いたように振り返る。


「紗奈・・・」


「どうしたの?」


紗奈はやさしく笑って宏大を見る。



「えーっと・・・頑張れよ・・・」


「フフッ、うん。」


私はその繫がれた手を見て、
胸がギュッと締め付けられた。



ただ『頑張れよ・・・』としか言ってないのに、
まるで愛の言葉を言ったような、
繫がれた手が愛を確かめ合ってるような、
そんな風に見えたんだ。


私は見てられずに目を背けた。


あの二人・・・

やっぱり強く結ばれてるんだ・・・


私は痛む胸をぐっと押さえた。



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