なんでも屋 神…最終幕
徐々にメインの喧噪が耳に届き始め、俺とヒロを包む光りも多くなってきた。



「そう言って貰うと、俺も少しは気が楽になるな…。」



そのまま歩を進めていると、ご機嫌になった酔客が目立ち始め、毒々しい原色ネオンが光を放つメインへと着いた。



今宵もメインは盛況さを見せていたが、この中から千里のような少女が生まれてしまったのだと思うと、原色のネオンも寂しく見える。



夜空を見上げると、両端を鋭く尖らせた月は、ヒロが事務所に連れてきた時の千里を思い出させ、外周の丸みは、最後に見せてくれたあの笑顔を彷彿させた。



こうして夏の噂話しだった赤鬼青鬼は、俺の胸に忘れる事の出来ない名前を刻み込み、その噂に幕を閉じた。
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