彼の舌が、背中の中心をじわじわと登る。
腰の一番低い位置からの、スタート。

「・・・ぅ。」

「しーーー・・・、声は出さない約束デショ?」

背中が弱い事を誰よりも熟知している彼の提案。
私が声を出したなら、内容は明かされていない多分エッチな[お仕置き]が待っている。

声が漏れる手前、垂れ下がる下唇を思いっきり噛んだ。
痛みで快楽を誤魔化して。


ただ[舐め上げる]だけじゃない、彼には[最強の武器]がある。
丸くて、硬くて、動いて。
彼の体温を持っていて。
一番近くにいる[舌]と共謀して、私を攻め立てる。

彼の舌の真ん中に存在するのは[舌ピアス]。
細い棒で貫かれた彼の舌の上下は、丸いボールで留められている。

「キスするとハマるらしいよ?」

って殺し文句を受けて、キスをしたらうっかりハマった。

部屋に居て暇だったら、キスをした。
一緒にテレビを観ていてCMに変わったらキスをした。
唇だけが触れるキスもしたけれど、それを求めて私の舌はいつも受け入れ態勢を整えてくれている彼の中へと導かれる。


こつん、とボールが背骨を撫でれば、その場所を彼の舌と唇がゆっくりと吸い上げる。
ぴくりと背中が跳ねれば、彼はふ、と息を吹きかけた。

よく考えてみたら、私に何の得もない、アソビ。
抗議しようにも、声を出したら・・・、お仕置き。

むう。
心の中で盛大にむくれても、
彼の舌は、動きを止めない。

「・・・、はぁーー・・・、」

「ん?」

「コレは溜息っ。」

「そんな事言っちゃうんだ。」

彼の舌が、動きを速めた。
軽く歯の当たる感触と、そこを舌全体を使って舐める感触に、肌を走るピアス。

「・・・、んぁっ・・・」

「それも溜息?」

突き抜けないジリジリとした刺激が身体にどんどん溜まっていく。
楽しそうに鼻歌を歌いながら、彼は私の背中を翻弄した。

噛み痕をさわさわと指の腹で撫で擦れば、腰を捩じらせる私を観察して、彼はからかう様にそこを指で何度か小突く。

くすぐったい?
止めて欲しい?
ううん、もう我慢が出来ないの。

「お仕置きの前に・・・、」

いいの。
女だって、欲求はあるの。

「キス、して。」


彼は音楽に合わせて踊るようにキスをする。
腰を抱いて、首を傾げて、リズムに乗せて。

軽くなんて、済まされないから、
キスだけじゃ、終わらない。
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