追憶の緋月桜


小さくなっていくなつの姿を見ていたら、後ろから声をかけられる。


「巫女、」

「宵の、か。なんのようだ。」

「――詫びを、と思ってな。」


銀、が私をじっと、見つめて離さない。あぁ、似たような感覚を前にも知った気がする。


「わかった、着替えてくるから少し待っててくれ、絶対に領域には入るな。」

「待ってる。」


思いがけない返答に、すこしだけ驚く。
トクン、と流れる血潮が熱く感じたのも気のせい。


「………っ、」


そして、足早に神社へ入ったのだ。




服を身に付けながら、考える。
彼、はあの人ではないのか。と、


――あの人もまた、あのあとに。


そこまで、考えてやめた。



繰り返す、のかもわからないことを危惧して目の前のことを疎かにしてはいけない。



特に、今日のような日には。




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