催涙雨



恭ちゃんがあたしを
連れてってくれたのは
キャンパスの近くにある
ファミレスだった。


ファミレスなら海の好きなもん
なんでも食えるだろって。

きっと、恭ちゃんの
さりげない優しさだね。


メニューを両手に持ち
考え込むあたしと違って
恭ちゃんは…もう
決まっちゃったみたいだ。


あたしも恭ちゃんと同じやつ
って言おうとした言葉は
見事に恭ちゃんに制された。

ゆっくり決めなって。


優しすぎる恭ちゃん…
───‥ズルイよ。



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