誠の紅桜に止まる蝶~土方目線~
「ったく返事を聞いてから入れよ。」

「えへへ?だってここは私のお部屋でもありますし!」

そう言ってにこにこと微笑む。

そんな姿をみるとついつい許してしまう。

憎めないやつだと思う。

「それで?要件はなんだ?」

「お茶をお持ちしました!!そろそろお仕事が終わるかなって思ったので。」

「ああ。すまねえな。」

俺は蝶から湯呑を受け取る。

小さくて華奢な手だ。

もちろんこいつ自身も小さい。

だけど、そこら辺の武士に負けないほどの剣術の腕前をもち、驚くほど観察力がある。

そして癒しの力という不思議な持っている。

そして誰よりも優しい心を持っている。

俺がお茶を飲むときはいつも静かにしている。

「おかわりはどうしますか?」

「いや、いい。」

「わかりました。」

そう言って湯呑を受け取り渡す。

「あ、今日土方さん夜の巡察みたいですよ?」

「ああ?今日の夜の巡察は新八のやろうが担当だろうが。」

「それが新八さん熱が出てしまったみたいで。」

すこし困ったような顔をする。

「ったく。馬鹿でも風邪ひくんだな。よし。わかった。」

そう言って俺は立ち上がり準備をする。

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