誠の紅桜に止まる蝶~土方目線~
「私がね、やりたいことも同じことなんだよ?」

「沙織・・・・」

「今の状態で戦ったらみんながどうなるかわからない。もしかしたら死んでしまうかもしれない。そんなとき蝶なら黙って見過ごせる?」

「私は・・・・」

ことばに詰まる。

見過ごせるわけがない。

だけど、

土方さんたちが大切にしている「誠」の思いも理解できるから

ことばに詰まってしまうのだ。

「ねえ蝶?」

「なに?」

「死んだ人のことは生きている人が覚えててくれるけど、死んだ人間に忘れられた生きた人間はどうすればいいのかしらね?」

「・・・・」

沙織がつぶやいた言葉にはあまりにも計り知れない思いがひびいていて。

私はなにも言えなかった。
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