ハスキーボイスで酔わせて
しかし視界に入るのは、
楽しそうに笑う家族連れや寄り添う恋人達だかり。
その幸せそうな表情に、
会いたくても会えない寂しさが徐々に募っていく。
「春樹さん…っ」
もしかしたら身に何かあったのかな。
早く迎えに来てよぉ…。
「ーー彩!」
その時、遠くから名前を呼ばれる声にハッとする私。
涙ぐむ目で声の矛先へ向くと、
駆け足でこちらに向かってくる春樹さんが見えた。
「わりぃわりぃ!待たせちまったな…!」