ハスキーボイスで酔わせて
目を細め私を見つめるその表情と手の温もりは、
不安な気持ちを自然と抑えてくれる。
ーーありがとう…春樹さん。
思っていた以上に早く東京に着いた私達は、
運ばれた病院へそのまま直行した。
そして病院に着くなり父親がいる病室へ急ぐ。
「お母さん」
病室近くまで行くと、部屋の前には母親と医師らしき人が扉の前で話をしている。
ゆっくり近寄ると話を既に終えていたようで、医師は軽く会釈をしてその場から立ち去った。