君の知らない空


数日間教えて分かったこと、
白木さんはいい子だ。


ちゃんと笑顔で挨拶も出来るし、教えたらひとつひとつ返事するし、言葉遣いもキチンとしてる。


「白木さん、この場合はここに電話して依頼してね」

「はい、分かりました。あの……」


白木さんはいつものように歯切れのよい返事をして、何か言いたげに私を見上げる。


「分からないことは遠慮しないで、すぐに聞いてね」


すると白木さんは、


「私のこと、名前で呼んでもらっていいですか?苗字って呼ばれ慣れてないので恥ずかしいんです。無理ならいいです」


と言って、頬を赤く染める。
こういうところが男性受けするのか?


「いいの?
じゃあ、美香ちゃん……でいい?」


「はいっ、ありがとうございます。
高山さんのことも名前で呼ばせてもらっていいですか?」


「いいよ、好きに呼んで」


「はい、橙子さん」


可愛い笑顔の美香に呼ばれて、私は照れ臭かった。


< 46 / 390 >

この作品をシェア

pagetop