お握りに愛を込めて
「ふふっ、菜子が恋ねー」

「何よ」

「いや、いいと思うよ。愁先輩」

よく分からない言葉で締めくくられた。

そして、

「すぐ傍にいるんだから、告白しちゃえ」

なんて、簡単に言うさとみ。

あんた、面白がってるでしょ。

「あ、バレた?」

舌を出して肩をすくめる彼女は、

「でも、告っちゃえばいいのにっては、思うよ」

と軽く言ってのける。

それが出来たら苦労はしないでしょ。

「すぐ傍にいるのに?」


そのすぐ傍にいることが問題なんだよ。

【特定の子目当ては、不公平の元だって】


いつかの先輩の言葉を思い出す。


監督が知ったら、私、マネージャー辞めなきゃいけないんだろうな。


「でも、マネージャーしてから好きになったんでしょ」

「そうだけど」

「だったら、辞める必要ないんじゃないの?」

「そういう問題?」

「そういう問題。ノープロブレムだよ」


そう言って、さとみは笑うけれど、なんか、そんな楽観的になれない。
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