初恋はレンタル彼氏
朝比奈さんは、私の隣の手洗い場で手を洗い始める。



さりげなく、朝比奈さんと話すの初めてだな。

いつもひとりでいるし…

ちょっと話しかけにくい感じ?


でもよく見るとかわいいし、女らしい顔してる。





「あの…高坂さん」

「え?」


手を洗いながら、私に話しかけてくる朝比奈さん。





「…ひとり?」




ひとりというか…


「さっきまでクラスの女子たちとお弁当食べてたんだけど、化粧直したかったから…別行動してるの」

「そうなんだ…」

「朝比奈さんは?」

「うん。あたし…友達いないから」


朝比奈さんは水道の水を止め、タオルで手を拭いた。




「私もいないよー♪一緒だね(笑)」

「え。高坂さんはいっぱいいるじゃん」

「うーん…でもそれはうわべだけで、本当に仲がいい子はいないよ ~」

「え?そうなの?」

「うん」


私は軽く返事をして、唇にグロスを塗った。
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