千の夜をあなたと【完】



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レティが薬草摘みに戻った後。


山に戻った青年は、そのまま屋敷の裏手の方へと回った。

井戸の陰に目当ての人物の姿を見つけ、足早に歩み寄る。

その人物は短い銀髪を黒い布で覆い、人目につかないように注意しながら、書類のようなものを青年に渡した。


もしセレナがこの場にいたら、その人物がエスターの従者であることを一目で見抜いただろう。


青年は中身を確認すると、その形の良い唇の端を歪めて嗤った。

その笑みはレティが見た表情とは全く違う、禍々しさに満ちたものだった……。



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