千の夜をあなたと【完】



ライナスは侮蔑の笑みを唇に刷き、くすりと笑う。

その憎悪に満ちた瞳に、モルガンは心臓を掴まれたような気がした。

なまじ美形な分、その迫力は凄まじく、まるで悪鬼のようにも見える。

モルガンは恐怖に押されるように、剣を振り上げて切り掛かった。


「きさまぁぁぁ!!」


叫びながら、ぶんとライナスに向かって剣を揮う。

しかしライナスはひょいと身軽にそれを交わした。

その手にはまだ何も持っていない。

モルガンの剣は勢いのまま、ライナスの後ろにあった腰丈の木をすぱっと切り落とした。

ライナスはそれを見、呆れたように言う。


「……なんだ、その剣は? 木を切るための剣か?」

「……っ」

「貴様は木こりか?」


――――なんという侮辱。

モルガンの頭にカッと血が上った。

ライナスはククッと笑い、口を開く。



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