キウイの朝オレンジの夜


「10時半には出ると約束して頂戴。そして、眠る努力をすることよ」

「はい」

 副支部長はあたしを優しい目で見て、少しだけ頷いた。

「私たち負けてられないわ、仕事だろうが恋だろうが。女の人は強いんだって、見せて頂戴、玉ちゃん」

 顔を上げて、明るい声で、はい、と返事する。

 明日からまた、頑張りましょう、そう言って宮田副支部長は帰って行った。

 あたしは深呼吸してからパンパンと頬を叩く。

「・・・結婚相談所にでも登録しようかなあ~・・・」

 他には誰もいない支部にあたしの声が響く。

 コンパなんて長いこと行ってないし、友達はほとんど結婚してしまってる。紹介にも頼りにくい・・・あああ・・・。他に恋愛対象になりそうな人を探す、も無理っぽい。


 がっくりと頭を垂れた。

 他に方法がないわ。・・・しゃーない、実行するしかないか。



 ‘仕事に集中して恋心を忘れよう大作戦’。





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