キウイの朝オレンジの夜


「ちょっと、勝手なことしないでよ。何のつもりよー」

「もう止めとけって言ってんだ。十分飲んだだろ」

「・・・うるさいわね、あんたに関係ないでしょうが」

「見苦しいから止めろって言ってんの。自棄酒飲めるほどお前は酒に強くないだろ」

 言い争いをしている内に光のカードで支払いが済んでしまったらしい。カウンターからおばさんがあたしを覗き込んだ。

「玉ちゃん、ふらふらじゃない。今日はもうやめときなさい。よかったよ彼氏がたまたま店に顔出してくれて」

 あたしは膨れっ面でおばさんを睨む。

「・・・彼氏じゃないもーん。あたし、まだ飲みたいのに~」

 おばさんは驚いて光を見る。え、彼氏じゃない?いつから?と今度は光に質問が飛んでいた。

 秋くらいですかねえ、と人事みたいに光が答える。

 客が少なくなった居酒屋で、暇なのもあって店のおばさんもおじさんも会話に参加している。何だってんだ、一体。あたしは更に膨れっ面になる。

 その時、ガラガラと音がして、店のドアが開いた。

「いらっしゃいませー」


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