変わった同居人
「希、お菓子は台所の棚に置いてあるから。お茶と適当にジュースも揃えておいたから。勝手に飲んでくれ。」
淡島さんはそれだけ言うと玄関の方へ行ってしまった。
現在居るリビングは扉を閉めない限り一直線である。だから私は淡島さんの背中をただ眺めていた。
「行ってくる。」
いつもの挨拶。
「行ってらっしゃい。
タマも行ってらっしゃい。」
――だけど私はこの何気ない挨拶が好きだったりする。
…誰にも言わないけれど。
そうして淡島さんは出て行ってしまった。