ペーパースカイ【完結】
# 2 苺
心臓が、口から飛び出して転がってっちゃうかと思った。

あれ、えーと。憧子ちん、だよね…?

あそこで、傘を持った背の高い男の子と一緒にいる。

やがてゆっくり傾いた傘の向こう。あれ、たぶん、キスしてる…よね???

あたしは一人、両手に持った本日の夕食がたっぷり入ったビニール袋をガサガサいわせ

あわわわわ!と内心めちゃくちゃうろたえた。


このまま、見なかったことにして素通り、するのがベターかも知れない。

でも、『憧子ちんの彼氏に会ってみたい』『話してみたい』っていう好奇心が…


うー。うー。

抑えられないよーーー!!!!


「あーこーちーーん!!!」

全速力で近づくあたしの姿に気づいた娘と、目が合った瞬間。


ずささささーーー!!!


あたしは、コケた。そうとう豪快に。

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