ペーパースカイ【完結】
# 6 輪子
一哉からのメールを確かめていたら、苺が下りてきた。

「どうだった?」

「うん…ちょっと、ほっといてって」

「……何か、あったのかな?」

「うん…」

しょげている苺。無理もないけれど。

「あのさ、一哉残業だからご飯食べてていいって。下拵えだけしてあるし、

もう少し憧子のこと待とうか。お父さんに、言ってくるわね」

居間でテレビを観ているお父さんに事情を話したら、

「じゃあ先に苺子風呂に入れちゃうか」

と、お風呂場へ行った。

テーブルに戻ると苺が

「輪子ちん、後で憧子の話聞いてやってくれる?」

浮かない顔で私を見つめた。

「なんで、私?」

「んー…、やっぱりね、あたしじゃうまく聞いてあげられないみたい。

憧子も、たぶん輪子の方が話しやすいと思う。…ずいぶん参っちゃってる感

じしたし…」

「………」

私が黙っていると、えへへ、とちょっと笑って「輪子ちん、なんか飲む?」

と苺は立ち上がり冷蔵庫を開けた。

私はいいよ、と言うと苺は、普段あまり飲まないビールを取り出した。









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