ペーパースカイ【完結】
〈8〉輪子:チープ・ポルノ・ムービー②
翌朝。

知らない匂いがする布団の中、私は裸のまま目が覚めた。

隣にいる男の子は、もうとっくに起きていたみたい。

知らない匂いの煙草を吸ってる。

「おはよー」

「…おはよう……あれ?…有希は?」

「八代んとこ行ってるよ、たぶん」

「ヤシロ…君…か、……あぁ…そっか…」

男の子は、ちっとも要領を得ていない様な私の口ぶりに、

煙と一緒に笑いを吐き出した。

「大丈夫?まだ酔っ払ってんの?輪子ちゃん」

灰皿に、ギュッと煙草を押しつけて、私の頬に、髪に、胸に触れる。

「俺は?俺の名前は、覚えてる?」

「うん…アツシ君」

馴染まない唇。

馴染まない指。

馴染まない息遣い。

陽司とは、まったく違うやり方で、私の身体を開いた人。

ちょっと乱暴だったけど、私はそれに、ものすごく興奮した。

そして、今も。
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