ペーパースカイ【完結】
マヌケでおかしい。

マヌケで悲しい。

でも、私は絶対泣けない。

そんなずるい女にだけは、せめてなりたくないから。

「…あのメール、本気?」

「うん」

「…ドッキリとかじゃねーの?」

「うん…」

パフェを食べる長いスプーンを握ったまま、陽司がテーブルに突っ伏す。

「…俺の事、嫌いになった?」

くぐもった声に、私は首を振る。

陽司はそれに、気づかない。

だから今のうち、私は何度も首を振った。

でも。

『嫌いになるわけないじゃん』

なんて、言ってはダメだ。絶対に。

そんな言葉はきっと、泣く事よりも酷だから。

「私…他に、好きな人ができた」

陽司がガバッと顔を上げた。

口元に、生クリームがついている。

「だからもう、別れたいの。…そんだけ!」

「……マジ?」
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