ペーパースカイ【完結】
奇跡的なほど単純で、無防備すぎるほど裏がない。


だから、男にダマされる。

寝耳に水で、ウラぎられる。

だからこんな真夜中に、こんなにも目を腫らしてる。

私がいれたコーヒーを、ちびちびと啜りながら。

変なシャツと、変な柄パン。

すっぴんそばかす。

ばか苺。


「ねえねえ輪子ちん。あたしってやっぱり、男運が悪いのでしょーか?」


「悪いのは運じゃなくって、イチゴアタマじゃないんでしょうか」


まだ涙をふんだんにためた目ほそめて。

鼻水たらして、キラキラと笑う。


「でもねぇ、あたし、大好きだったの。一生一緒にいたかったから、

死ぬほどやさしくしたつもりなの。だからいーの、ムカついたけど。

あたしの中ではOKなの」


まだほやほやの、恋の終わりに。

大好きな男に浮気され、さらに逆ギレで言い渡された別れの後に。

なんでOKだなんて言えるのか、私にはわからない。

無理矢理、美化してるんじゃないってことはわかってる。

失恋した自分に、酔っ払ってるんじゃないってことも知ってる。

苺の恋の、どの始めにも終わりにも、私はいつもそばにいたから、

それはわかってる。

でも。
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