金色の師弟
その様子に、ライラは短く息を吐いた。
エルクが口にしたような感情論は、可能性としては有りだが、ライラはあまり好きではない。
「オネストの王は病床に臥せってから長い。回復してもしなくても、もう無理は出来ないだろう。そうなると、次の王はミーナ姫だ」
ミーナは震える瞳でライラを見上げた。
深緑に沈むライラの瞳は、不安げな姫の姿にも揺らぐことはない。
「だが姫は王を迎えるつもりでいると聞いた。ならば、候補が出揃っていない今のうちに自分に決めてほしいと思うのは当然の心理だ」
感情の籠もっていないライラの言葉は、深くミーナの心に突き刺さる。
そして同時に、ミーナはライラを見上げある考えに至る。
(私が早く婚姻を結べば、デモンドも諦めるのかしら……)
ミーナの不安など知る由もなく、ライラは何気なく窓の外に広がる青空を見上げた。
メルディ王国の方角には、微かに黒い雲が見えた。
(これは……荒れそうだ)
討伐作戦予定日に丁度オネストを覆うだろう曇天を想像し、ライラは一人ため息を吐いた。