金色の師弟

そしてカトルは、アデルの言葉にはっとする。

ルイはアデルの弟子。

アデルがルイを可愛がっているのは誰の目にも明らかで、そんなアデルは今日メルディ王国を発つ。
国が違うため、二人はそう頻繁に会うことはない。

今回も久々の再会だったはずだ。

(もしかして、俺、水差しちゃってる!?)

師弟で気兼ね無く話したい事もあるだろう。

そんなときに、自分のような他人がいたら邪魔じゃないか。

二人の表情は楽しそうであり、決してカトルを邪魔者視などはしていない。

しかし、一度不安に思ってしまうとどのような表情をしていても関係ない。

カトルは自分が邪魔な存在に思えて仕方がなかった。

「お、俺、隊長に呼ばれてたんだった!」

声を裏返し立ち上がったカトルは、木々を潜り抜ける鷹のように、人波を擦り抜けて走り去ってしまった。

唖然とする二人。
< 18 / 687 >

この作品をシェア

pagetop