金色の師弟

「落ち着け、ルイ」

「だって、アデルさん……」

静かな口調に嗜められ、ルイは肩を落とす。

師匠の見たこともない動きに、興奮せずにはいられない。

そしていつか、自分にも出来たならば希望を抱く。

「実戦で使うにはまだ不安があるがな……まぁ、上等だろう」

アデルは勝ち気な笑みを浮かべ、ディンを振り返った。

すでにディンも彼の部下たちき囲まれ、談笑を繰り広げていた。

だが、その眉には僅かにしわが刻まれていた。
悔しさが滲んだその表情に、アデルは満足そうに頷く。

「……アデルさんはいつもそうです」

「ん?」

ルイは俯き、ぽつりと呟いた。

意味がわからずに首を傾げるアデルは、ルイを覗き込む。
すると、ルイは顔を背けアデルから視線を外した。

アデルも負けじと背けたルイの顔を覗く。
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