金色の師弟

「だってさ、ただ強くなってほしいだけなら、自分の技をどんどん教えればいいだけだよ。でも、将軍はそれをしない」

「それは、私の出来が悪いから」

「とうっ」

「痛っ」

ルイの呟きに、カトルはルイの頭を小突いた。

なぜ突かれたかわからずルイは目を丸くする。

「ルイが出来悪いなら、俺はもっとひどいよ」

「なっ……そんなことありません!カトルさんの身のこなしは誰にも真似できません!」

「あのねぇ……普通はアデル将軍の真似も出来ないよ」

カトルはやれやれと頭を抱えた。

大陸一と呼ばれるアデルの技は彼が独自に作り上げたものがいくつもある。
シェーダ国にも弟子は多くいるが、アデルは自身の技を教えることはしない。

彼が教えるのは、いつも正しい弓の引き方と矢を当てるコツのみ。

それ以外を自ら教えることはない。

言葉にはせず。
ただ、見せるだけなのだ。
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