音無さん
プロローグ
ぺたりぺたり…

裸足で、床を歩く音が聞こえている。ゆっくりと踏みしめる床は驚く程無音を続けているのに対し、何故か足音だけが存在感を見せていた。

ぺたり…ぺたり…

距離はまだ遠い筈。何故なら息づかいも影も見えてこない。ましてや自分の足音でさえないのだ。

あぁ…これは夢か――

ボンヤリした頭で考える。

そこで目が覚めた。
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