HERO
光に瞼を打たれ目を覚ます。
夢を見ていたのかもしれない。
ぬくもりを感じた頬は、完全に冷え切っている。
名残惜しく、頬に触れてみる。
あれ?私は確か座ったまま眠っていたはずなのに。
いつの間に横になったのだろう。
上体を起こし、目の前の光景を見て首を傾げる。
ここはどこなのだろうかと。
ああ、まだ夢の中にいるのか。
手術室のような大きなライトが頭上に浮かび、私を照らしている。
一面白で覆われた広い部屋には、私と、ライトと、大きな機材が一台置かれている。
そっと床に足を下ろした。
素足に響く冷たさに、思わず声をあげる。
そこで瞬く間に、夢ではなく現実であると知らされた。