HERO
思い切り体を蹴飛ばした。
それでも腕は解放されない。
何度も、何度も体を蹴飛ばし、ついには頬にその足が飛ぶ。
葉書に埋もれ、梓は目を見開いたまま倒れてしまった。
「…梓!?」
ふと、我に返り横たわった梓の顔を覗きこんだ。
左側の黒目に「ERROR」と、赤い文字が点滅している。
『―ロボット』
ピーという電子音が響き、梓は目を閉じる。
『ロボットなんです』
脳内に木霊する言葉から逃げるように、私はまた走り出した。
行く宛てのない、2055年の街中へ。