HERO
昨日の、あの時の、梓の顔が浮かぶ。
『弱虫で、泣き虫だったし―』
そう言った時の彼の顔が忘れられない。
気持ちに蹴りをつけるために言った言葉で、傷つけてしまった。
まさか永遠に会えなくなるなんて、思ってもいなかったから。
いつでも、挽回できると思っていたから。
「ごめんね…梓」
口にすれば一層、苦しくなった。
戻りたいと思った。
梓に会いたいと思っていた。
幸せになってほしいと願っていたはずなのに。
私はなんて、わがままなのだろう。