雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
「なんでおまえが、そんな事を知ってる。まさかあいつに余計な事を言ったんじゃないだろうな」


 ローザンは途端にうろたえた。


「いやぁ、ヒントを与えただけですよ。今さらどうだっていいじゃないですか」
「やっぱりおまえか」


 そう言いながらロイドは、ローザンの額を叩いた。


「オレが陛下のところから帰った時、あいつの様子がおかしいと思ったら」
「まぁまぁ。結果的には分かってもらえて、よかったじゃないですか」


 全く悪びれた様子もなく、ニコニコ笑うローザンに苛ついて、ロイドはふてくされて顔を背けた。


「うるさい。用が済んだらさっさと帰れ。オレは忙しいんだ」
「はいはい。また時々、様子を見に来ますね」


 ローザンは笑いながら席を立ち、研究室を出て行った。

 ローザンがいなくなって、研究室は再び静寂に包まれた。


(そういえば、あの日はいろんな事が一気に起こったな)


 忙しいと言っておきながらロイドの頭は、またしてもユイのいた過去の記憶を辿り始めた。

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