雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

「おまえが頼んだのか?」
「うん。いけなかった?」


 ユイは全く悪びれた様子もなく、キョトンとして問い返す。


「……あまり不必要に親しくしすぎない方がいい。おまえは殿下なんだ」


 ロイドが諭すと、ユイは不服そうに反論した。


「わかってるけど、婚約者と親しくして何が悪いの?」
「婚約者だからだ」
「意味わかんない! 説明して!」


 とうとうユイは、苛々したように叫んだ。説明すると長くなる。
 ロイドは大きくため息をついて俯いた。


「後で話す。とりあえず行ってこい」


 ユイは黙ってその場を離れ、入口で待つラクロット氏と共に、研究室を出て行った。

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