雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

「素直にいう事を聞くおまえなんて、薄気味悪いぞ」 (3)

 そう言ってロイドが通路に足を向けると、ユイが地面にしゃがみ込んだ。


「待って、ロイドが……」
「オレが?」


 何を言っているのか怪訝に思い振り返ると、ユイは両手の平に乗せた小鳥ロボットを差し出した。

 受け取った小鳥は、完全に機能を停止している。
 よく見ると羽の付け根が折れていた。
 地面に叩きつけられでもしたのだろう。

 ユイはロイドを見上げて、再び涙ぐむ。

 小鳥が命令を聞かなかったというのだ。
 状況を訊くと、ユイを連れ去ろうとする男の邪魔をして、叩き落とされたらしい。
 絶対命令が働いて、主人のユイを危険から守ろうとしていたのだ。

 それで合点がいった。
 ユイが小鳥の名を呼んでいたので、あの男は”ロイド”を小鳥の事だと思っていたのだ。
 大声で呼ばれたのに、男が反応しなかったわけだ。

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