雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 画面の真ん中に、エラー表示のウインドウが点滅している。
 ロイドはコントロールパネルの上で拳を握り、ガックリと項垂れた。


「くそっ……! また終了サインが出なかった」


 これで二回、異世界検索に失敗している。
 残る時間は百二十秒だ。

 あの日からユイは、あまり元気がない。
 ロイドが発した言葉は、ユイの想いを拒絶した事になるのだから、当然と言えば当然だ。

 ユイはこれまでと変わりなく、決まった時間に茶を淹れ、夕食時まで研究室にいるが、口数が少なく、ろくに話もしていなかった。

 ユイが仕事の邪魔をしない事を利用して、ロイドは忙しく働き続け、話す機会を与えなかった。

 実際に時間もないし、忙しいのだから仕方ない。
 これは自分の心ない態度への言い訳だ。

 それでユイに嫌われてしまうなら、その方がいい。
 連れて逃げて、不幸にしてしまうくらいなら。
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