雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

「とことんオレの言う事を聞かない奴だな」(1)

 研究室に戻るとローザンが話しかけてきた。


「ロイドさん。科学技術局から電話がありましたよ」
「副局長か?」
「はい」


 やり場のない苛立ちが湧いてきて、ロイドはついつい声を荒げる。


「行けないって何度も言ってるのに、しつこいぞ、フェティの奴! だいたい急ぎの仕事は昨日片付けたばかりじゃないか」


 ローザンは自分が叱責されたかのように、おどおどと言い訳をする。


「えぇ。だから、陛下の勅命による最優先の仕事で忙しいから、当分は手が取れませんよって言ったんですよ。そうしたら、それは分かっているが”当分”では、外部からの問い合わせの返答に困るので、具体的にいつ頃メドが付くのかだけでも教えて欲しいって……」

「それでおまえ、何と答えたんだ?」


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